report: 2009/06/08
update: 2011/10/14

今回はピストンリングを特注してみました！

きっかけはヤフオクに出ていた T2 用のワンオフピストンリングでした。"へぇ、ピストンリングの特注が出来るんだ！" と思って調べてみたところ、ヤフオクに出ていたピストンリングを作ってたメーカーさんが判明して相談してみたところ、切削加工によりワンオフで作成可能とのことでした。

そこで例によって BBS で購入希望者を募ってみたところ、

　　　　　N/A スタンダードサイズ = 100 シリンダー
　　　　TURBO スタンダードサイズ = 150 シリンダー

のオーダーが入りました。両方とも +0.25、+0.50 のオーバーサイズも同時に募集したのですが、やはりオーバーサイズピストンを持っている方は殆どいないようで、オーバーサイズのオーダーは入りませんでした。

当初は切削加工で作成する予定でしたが、数量が両方とも 100 シリンダーを越えたため、大手メーカーさんに作製依頼してもらうことが出来、純正品と全く同じ仕様のピストンリングを作成することが出来ました！箱がピストンリングメーカーさんのものになっている以外は、ホンダから供給された純正部品と同等です ^^)

以下、作成したピストンリングの仕様です。

TURBO 用スタンダードサイズピストンリング(13011-PD1-004 互換品)です。各リングの仕様は、

　　　Top：66.0 x 1.2 x 2.6 (バレルフェイス / スチール / 外周メッキ)
　　　2nd：66.0 x 1.2 x 2.9 (テーパーカット / スチール / 外周メッキ)
　　　Oil：66.0 x 2.8 x 2.8 (サイドレール / 3P 組み立てタイプ / 外周メッキ)

で、純正品と全く同じです。

N/A 用スタンダードサイズピストンリング(13011-PC0-004 互換品)です。各リングの仕様は、

　　　Top：66.0 x 1.0 x 2.6 (バレルフェイス / スチール / 外周メッキ)
　　　2nd：66.0 x 1.2 x 2.9 (テーパーカット / FC / メッキなし)
　　　Oil：66.0 x 2.8 x 2.8 (サイドレール / 3P 組み立てタイプ / 外周メッキ)

で、純正品と全く同じです。

参考に、ホンダ純正部品の N/A 用 +0.50 オーバーサイズサイズピストンリング(13031-PC0-005)です。各リングの仕様は、

　　　Top：66.5 x 1.0 x 2.6 (バレルフェイス / スチール / 外周メッキ)
　　　2nd：66.5 x 1.2 x 2.9 (テーパーカット / FC / メッキなし)
　　　Oil：66.5 x 2.8 x 2.8 (サイドレール / 3P 組み立てタイプ / 外周メッキ)

で、-004 と -005 で製造メーカーが異なるため、仕上げやオイルリングのスペーサーの形状が微妙に異なります。

サービスマニュアルによると、ピストンリングの上面には マーキング がしてあり、TURBOの場合 は Top と 2nd が判るように "1T"、"2T" のマーキングがしてあることになっています。
しかし、今回作成したものは上面を識別する "R" のマーキングはありますが、"1" や "2" のマークがありません。

# バラした T2 エンジンから外したピストンリングには、Top に "T"、2nd に "2T" のマーキングがありました。N/A は両方とも "T" でした。

N/A 用は厚さも仕上げも異なるので Top と 2nd の識別は容易ですが、TURBO 用は両方とも厚さが 1.2t でスチールの外周メッキです。また、外周の断面形状が

　　　Top = バレルフェース
　　　2nd = テーパーカット

なのですが、2nd のテーパーカット部が上下とも面取りされているのでバレルフェイスと見分けが付きにくくなっています。
一番判りやすいのがリングの幅(Top = 2.6mm、2nd =2.9mm)ですので、組み付け時には間違えないように気をつけてください。

ちなみにマークの "T" と "R" は製造メーカーの頭文字です。

以上の通り、今回作成したものは数量がまとまったため、純正品と全く同じ仕様で作成することが出来ました。100 シリンダー以上集まれば今回と同じ仕様での作成も可能なのですが、追加生産ですとなかなかそれだけの数量をまとめるのは難しいものがあります。

そこで、今回発注した埼玉県川口市の (株)横溝ピストンリング製作所さん(現在リンク先停止中) に相談したところ、切削加工品で良ければシティ用なら仕様や寸法がわかったので、

　　　・シティ N/A 用 スタンダードサイズを 4 シリンダー分
　　　・シティ TURBO 用 +0.25 オーバーサイズを 5 シリンダー分

のように注文すれば、サンプル無しで作成していただけるとのことでした！

ヤフオクから拾った画像ですが、切削加工で作成するとこのような仕上がりになります。このピストンリング(TURBO 用)を前記のような仕様で表現すると、

　　　Top：66.0 x 1.2 x 2.6 (バレルフェイス / FC / メッキなし)
　　　2nd：66.0 x 1.2 x 2.9 (テーパーカット / FC / メッキなし)
　　　Oil：66.0 x 2.8 x 2.8 (カッタオイル / FC / メッキなし)

となります。

メッキが無いと多少摩擦抵抗的に不利になるそうですが、ある程度磨耗すればメッキ部もなくなるので、大差は無いとのことです。
オイルリングはスペーサーを使用した 3P 組み立て式ではなく、リングの周囲を切削して長穴を開け、オイルを排出する構造になっています。

標準では材質は FC(鋳鉄) ですが、コストは上がりますが、スチールやステンレス、ダクタイル鋳鉄等での作成も可能とのことです。
ちなみに価格ですが、1 台分(4 シリンダー分)ぐらいの数量ですと、1 シリンダーあたり \5,000 前後になるとのことでした。価格はスタンダードサイズでもオーバーサイズでも同じとのことです。

他車用でもサンプルが有れば作成可能とのことですので、検索でこのページにたどり着いた他車オーナーの方も、相談してみてはいかがでしょうか ^^)
サンプルは新品でなくても、バラしたエンジンから外したものでも何とかなるとのことです。