■ 破れたバキュームコントローラーを直そう!(30104-PC0-901 編)
report: 2008/08/18
update: 2011/10/14


このページでは、30104-PC0-901 のリペア方法について解説します。対象車種は以下のとおりです。

    ・R (MT/AT、エンジン号機:ER-1300001〜)
    ・E (AT、エンジン号機:ER-1300001〜)
    ・U (AT)
    ・U-Topics (AT)
    ・カブリオレ (MT/AT)

基本的な分解/組み立て方法については 30104-PC0-015 と同様ですので、こちらでは異なる部分についてのみ解説します。必ず、30104-PC0-015 編 も参照してください!



これが 30104-PC0-901 です(以下、-901 と略)。



-015 では日産から同じ形状のダイヤフラムを使っているバキュームコントローラーが取り寄せ可能だったのでよかったのですが、-901 では同じダイヤフラムを入手することが出来ませんでした(日産に同形状のダイヤフラムを使っているバキュームコントローラーを見つけたのですが、すでに供給終了でした。まぁ、箱スカや S30Z 用なので無理ないですね ^^;)。

そこで多少形状は異なるのですが、こちらにも -015 で使用したプレーリー用のバキュームコントローラー(日産品番:22301-32R02)のダイヤフラムを使用してみることにしました。写真左が -901、右がプレーリー用です。

特に成型された厚みが異なるのですが、かなり柔軟性があるので仮組みでストロークさせてみた感じでは、実用上は支障なさそうでした。また、中央の平面部もプレーリー用のほうが広いので、両面からプレートで挟んだときもダイヤフラムに無理は掛かからなそうです。長期間使用した場合の耐久性はわかりませんが、まぁ、破れたダイヤフラムのままよりはよっぽどましでしょう ^^)

ちなみに、バキュームコントローラーの特性はスプリングなどで決めてあり、ダイヤフラムの弾性の違いなどが特性に影響しないことは確認済みです。



-901 では、ハウジングの形状の関係で、ダイヤモンドディスクが使えません(写真は -911)。



こちらがカシメを外して分解したところです。

-901 はハウジングの中にはダイヤフラムしか入っていません。



進角特性はロッドについているスプリングと、スプリングの内側に入っている筒型のストッパーで決められています。



レバーはスプリングを縮めながら横にスライドさせれば簡単に外れます。

写真を撮るときに並べ忘れたのですが(^^;)、スプリングとハウジングの間に薄いワッシャが 1 枚入っているので注意してください。



これが取り出した軸とダイヤフラムです。

中央部でカシメられていますので、6.5φ 以上のドリルで揉んでカシメを外します。



5.0φ の軸に M3-P0.5 のタップでネジ山を切ります。-901 の場合はここがキモになります。

M3-P0.5 なので、下穴は 2.5φ になります。2.5φ の穴を 5.0φ の軸の中心に垂直に開ける必要がありますので、かなり精度を要します。
少なくともバイスに垂直に固定してからボール盤で開けるなどした方がよいと思います(僕は旋盤を使いました)。

タップ掛けも斜めにならないように慎重に行ってください。タップをボール盤に装着し、チャックを手で回しながらタップ掛けを行うのもひとつの手だと思います(安全のため、ボール盤で行う場合は、必ず電源コードをコンセントから抜いて行ってください!)。

ダイヤフラム固定時は、0.5t の金具 2 枚でダイヤフラムを挟み、M3 のビスとワッシャで締め付けます。このときの状態は右図のようになります。

軸の上面の突起(水色部)が 5.0φ でワッシャの穴が 3.2φ ですので、突起の高さが高過ぎると先にワッシャと突起部の上面が当たってしまい、金具とダイヤフラムを十分に圧着できません。
このため、突起の高さは 1.0mm 位になるように加工します。

※ 2008/10 追記: 穴あけ/タップ立て用治具 を作成しました(貸し出し可)。



ネジ山が切れたらステンレスの M3x6 六角穴付ボルトとワッシャで元通り組み立てます。

少しでも圧力が広範囲に掛かるように、ボルトには 10φx1.5t のワッシャを装着しました。

ちなみに、最初は+頭のボルトと 8φx0.5t の標準サイズのワッシャ で組んでみたのですが、+頭ではあまり強く締め付けられないため、組み上げたら見事にリークしていました ^^;

固定時には、緩み防止とリーク対策のために、耐熱性のある接着剤(JB ウェルドなど)を併用します。



後は -015 編 を参考に組み立てます。

"下側ハウジングの取り付けネジの穴"、"上側ハウジングの負圧ホース接続部" は写真左の角度で組み立てます。

-015 は組み立て時に" ロッドの平面部" の向きも注意しないとなりませんでしたが、-901 はレバーが手で回りますので気にする必要はありません。

また、-015 のデスビとの合わせ面のシールはゴム製のパッキンでしたが、-901 は 2mm 厚ぐらいの発泡ゴムのようなものが使用されています。

デスビから取り外した時点でもう跡形もなくなっていると思いますので、ハウジングについている痕跡を参考に発泡ゴムやフェルトなどを貼りましょう。



リペアで使用する部材の供給については こちら